私が知らないところで

高校に入学して、いじめが始まってから、学校の事を考えなかった事なんてない。

毎日学校の事、いじめてきた男子達の事ばかりを考えてた。


『早く学校に行かなければならない』

学校に行かないと、母や周りの人の目が気になる。


『もっと強くなって男子達に言い返せる私にならないといけない』

言い返す事も出来ない弱い私が悪いんだ。



『女の子の友達は私をどう思ってるかな』

みんな、いじめの対象が自分じゃなくて良かったってホッとしてるかな。

いじめられてる私を哀れに思ってみてるかな。

同情ってやつ?


本当は学校を辞めたい。

高校は義務教育ではない。

辞めようと思えば辞める選択だって出来る。

辞めてしまえばこの苦しみから解放される。

悩みがなくなる。

自殺願望と同じだ。

やっぱり私はこの『いじめ』から解放されて楽になりたかった。

直ぐにでも解放されるには、起きている出来事から逃げ出すことだと思っていた。


でも、退学は出来ない。

無理矢理にでも退学したいぐらいの気持ちはあったが、この時の母の意見と言うのは、とても私に影響していたんだと思った。

母が『高校だけは絶対に卒業しなきゃダメだ』と、何度も言ってきていた。


中卒では、私がこれから先、就職する時に困るからだと。

したい仕事にもつけなくなったら大変だからと。

学歴で判断する社会が嫌になった。

資格がないとしたい仕事が出来ないなんて変だと思った。

だって、私は好きでこんな状況になったわけじゃない。

普通に学校に通って、それなりに友達を作って、楽しく過ごして、大きな問題なく卒業したかった。


3年間、普通に過ごせれば良かっただけなのに。


なんで彼らのせいで私がいろんな事を我慢して、絶えて、損しなきゃいけないのか。

なんで私は彼らのせいでこんなに辛くて涙を流さなきゃいけないのか。


私が何かした?

何でこんなに辛い想いをしなきゃいけないの?


やっぱり、弱くて一々気にして負けている私が悪いの?


そんな葛藤を毎日繰り返していた。

そんな頃、担任の先生が家に連絡をしてきた。


覚えていないけど、度々、母に私の様子を聞いてきていたんだと思う。


担任に本当のことなんて知られたら大変だと思っていたから、母には、いじめの事は話した事がない。

話すつもりもなかったけど。

母が知ってる情報は、『男子が怖い』って事だけ。


母は、担任に聞かれて、そのまま伝えた様だ。

こういう時、本当に、毎回馬鹿正直に伝える母に怒りを感じる。

中学の時もそうだった。

先生が聞いてくるんだもの。

と母は言うけれど、なぜ聞かれた事に対して包み隠さずにストレートに伝えるのか。

私が私を守るために今までどれだけ苦労して隠してきたか。

いじめが大ごとにならない為に必死に自分を押し殺して過ごしてきたか。


何もわからないくせに勝手に喋って軽く返事して…

母が担任にストレートに伝えた一言で、今まで積み上げてきたものが全て崩れた気がした。

『終わった』と思った。


案の定、担任は、私が怖いと言っている男子探しを始めた。


私はこうなるのが嫌だったのに。

やっぱり母は私の抱えてる問題なんてわからないんだ。

あの担任に聞かれたまま答えるなんて信じられない。

大ごとになったら余計に学校に行けなくなるってわからない?

中学の時も同じ様な事あったよね?

私、やめて!って言ったはずだよね?

本人がやめて、しないで、言わないでって言ってるのに、何でわかってくれないの?

学校に行けないぐらい悩んでるのに。

いじめられた事がない人には、対応の仕方もわからないのかな。


母に、男子が怖いなんて言ってしまった事を凄く後悔した。

それと同時に、私は他人に対して、自分の想いを口にするのは、これ以上私が傷つく事になるからやめようと誓った。

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