中学校卒業へ
卒業式の練習に参加する為に数回学校に通った。
あと少しでこの環境から、あの男子たちから離れられる。
高校は違うところ。
もう会わなくて済むんだ。
そう思って過ごす事だけで1日1日をこなしていた。
そしていつの間にか、幻聴も気にならなくなっていた。
卒業式の日、式が始まる前にそれぞれが卒業アルバムにメッセージを書いていた。
今思い出したけど、
卒業直前のクラスの席のこと。
私の席の前は、私をいじめていたうちの一人だった。
一人だけ同じクラスだったんだ。
すっかり忘れてた。
それで、その日一番驚いたことがあって。
その人が私の方を振り返って
『卒アル書いて』ってアルバムとペンを渡してきたんだ。
その瞬間、色んな感情が、ワーッと出てきた。
えっ?私に言ってる?
何で私に?
もしかして、あれは私の勘違いだった?
気のせいか、相手は引きつってる様な、気まづそうな表情だった。
ま、そうだよね。
でも、そこで気まづい表情しないでほしかった私もいた。
だって、気まづい表情するって事は、やっぱり私に後ろめたさがあるからだよね?と思ってしまったから。
言葉でいじめてられてきたけど、それでも、本当はいじめられてなんかいなかった。私の被害妄想だった、勘違いだったんだって事を思いたかったんだ。
いじめられていた自分を認めたくなかった。
しっかり認めてしまったら、私の存在価値はない。を感じて怖かったんだと思う。
結果的に彼の方から声をかけてくれて、私はあの瞬間、救われた気がした。
正直、とても嬉しかった。
もう彼とは話せないと思っていたから。
私と話すことすら嫌なんだろうなと思って、ずっとずっと悲しかったから。
他2人は違うクラスだったから、話すことはないまま卒業したけど、最後に同じクラスの彼と話せて良かった。
彼は『ありがとう』と言って、前を向いた。
お調子者の彼なのに、ふざける事もなく『ありがとう』の一言だけ。
もしかしたら、だけど。
気にしていたのかな。
他の2人に混じって、ただ、私をネタに笑っていただけなのかな?
軽い気持ちでネタにしたけど、他2人から抜けれなくなって、私に言い続けていたのかな?
真相はわからないけど、今、冷静になってみて、そう思う様になった。
もし、万が一、そうだったなら。
卒業式のあの時、勇気出して私に声かけてくれて、ありがとう。