仮病と早退
時間が経つとあんなにも辛かった出来事が所々?
むしろ、ガッツリ記憶がなくなっているところがあって、どうしても思い出せない。
当時は本当に辛かったんだよ。
でも、忘れるって、人間って不思議だなー。
新学期が始まっても相変わらず、男子達からは
『臭い』だの
『うわっ、無理無理』だの
『あいつの近く?かわいそー』って言葉が私とすれ違うと必ずと言ってもいいほど飛び交っているのがよく聞こえいて。
実際、他にも傷つくワードは言われてたと思うんだけど、『くっせー』とかの言葉が印象深過ぎて、他は覚えてない。
それと共に、私をネタにして嘲笑う彼等の声が耳から離れないぐらいに私の恐怖を煽ってくる。
私のことをネタに笑って、汚い物扱いして、何がそんなに面白いの?
私は、彼等に対して反抗するわけでもなければ、先生や親にチクるわけでもなく。
もちろん、友達、クラスメイト、誰にも言えずに、ただひたすら、傷なんてついてないフリをし通してただけ。
怖くてクラスで目立つ事なんて一切したくなくて、とにかく毎日が静かに、平凡に過ぎて行く事だけを考えて行動してたから、いつも
適当にみんなの意見に合わせて
みんなに合わせて面白そうなフリして笑って
みんなに合わせてムカついたフリして
文化祭や体育祭の何か決める時はみんなにタイミングを合わせて手を上げたり、下げたり…
テストの成績もクラスの中間地点をキープ
何事も中間地点にいれば、
彼等もネタにする事がなくなってくるだろうなんて、安易な考えかもしれないけど、私なりに必死だった。
振り返ってみると、常に神経が張り詰めた状態だったんだなーと思う。
自分の考えなんていつも後回しだった。
私を後回しにしないと、他人の意見を優先しておかないと、私のいじめは酷くなると思った。
酷くならなかったとしても、他人の意見を優先しなかった瞬間は、『は?あいつ何してんの?』って言葉が聞こえてきそうだったし、
何も言われなくても、嘲笑う声が聞こえてきそうで怖い。
大袈裟かもしれないけど、
私は私の気持ちを押し殺すしか、そこで生き延びていく術が考えつかなかった。
その態度が逆に彼等を煽っていたのかは、私にはわからない。
そりゃ毎日ぐったりと疲れてたわけだ。
常に周りを気にして、周りから浮かないように、目立たないように気を付けて頑張ってたんだもん。
帰ってからも、気が休まる事なんて一瞬。
すぐに明日の学校の事を考えてしまってずっと不安が取れなかった。
寝る前なんて、起きたらまた学校だ。なんて考えるから、寝た気がしないし、寝る前は嫌だった。
休みの日だって、サザエさんを見ればもう明日になってしまう。って憂鬱になる。
そんな事が続いてだんだん精神的にも参ってきて、私、仮病を使って早退をしたような気がする。
定かではないけど、午前中で帰って家でお弁当を食べた記憶がある。
確か、家にいた母に早退した理由を聞かれて、ただひたすら『怖い』って言ってた気がする。
母は、ガッカリしていた。
『また⁉︎良くなったと思って安心してたのに〜…』と、私の精神状態の事だろう。
母は泣きそうな顔と声で言ってた。
母にこれ以上言ったら、余計にあれこれ聞かれて私がもたない。
と何となくだけど感じた。