留年して初めての夏休み

Aくんと私が友人宅で再会したのが、まだ夏休みが始まったばかりの頃。


それ以来、数える程度だが、私はAくんと会う機会があった。

友人宅へ行くとAくんがよくいる。と言った方が正確かな。


私の友人はその頃付き合っていた彼氏と半同棲状態で、友人の彼氏とAくんが仲が良いと言うのもあり、私が友人と遊べばAくんももれなく付いてくる状況だった。


何回か会ってもやはり、私を言葉でいじめたAくんの存在は怖いもので、なかなか慣れるものではなかった。


友人と一緒にいれば面白いノリの良い男子。なのだが、私は彼の別の姿を知ってしまっているので、心の底から笑って楽しめることはなかった。

楽しそうなフリ、本気で笑ってるフリはできていただろうが、心から気を許した付き合いはしたくても出来なかった。


『今もクサイ、汚い、無理って思ってるよね』


『私は目立つタイプじゃないし面白くもないし本当は関わりたくないって思ってるよね』


1年前のことが全く忘れられなかった。

Aくんと会うたびに怖い思い出が蘇るだけだった。

無理矢理、自分の中から込み上げてくる感情に蓋をするだけだった。


時間が解決するなんて、まだあの頃は日が浅過ぎると思っていた。



ある時、みんなでカラオケに行くことになった。

私は歌うことが大好きだったので、楽しみでその時だけはなぜかAくんの存在があまり気にならずに遊べた。


そのカラオケから私とAくんの関係は良くなり始めたのだ。


カラオケから家に帰った夜、携帯電話に知らない番号から電話がかかってきた。


誰かな?と思い、電話に出るとAくんだった。

とにかくビックリしたのを覚えている。

ビックリしたのと同時に嬉しさと、少しだけ怖さがあった。


嬉しいのは、私の番号を知りたいなんて思わないよね?って思っていた人から電話がきた嬉しさ。

私を受け入れてもらえたような、嫌われていないんだよね?っていう安心感があった。


怖さは、何か私に言いたいことがあるんだよね?いじめのこと謝られるのかな?

本人から謝られたら、やっぱり私はあの時、思い違いじゃなく、いじめられていたんだって、いじめが確定になるのを受け入れなければいけない怖さ。


1対1で話すなんてあまりなかったから電話越しだがとても緊張してしまった。


でも緊張の中でも、緊張しているのがバレないように私はまた怖いっていう感情に蓋をし、びびってる弱い自分を押し込んで気にしていないフリで『どうしたの〜⁉︎』なんて明るく振る舞った。

知られたくない

私とAくんの他に友達が2人。

1つの部屋に4人しかいない。

ちょうど1年前の状況からは全く考えられない状況にいる。


そこでも私は、2人の友達にバレたくなくて、変な気をつかわせたくなくて明るく振る舞った。


でも、恐怖感が抑えられなくて私はAくんの顔をあまり見れなかった。


そしてAくんが話し始める度に作り笑いをしていた。


他2人の友達は、私たちが同じ高校だったことを知っている。

『そういえばAは辞めたけどチエと学校一緒だったんじゃん!?』


してほしくなかった話題になってしまった。


友達は私が学校に行っていなかった理由がまさかAくんが関わっていたとは思っていない。


頷いたものの、その後の会話が私には繋げられない。


『同じクラスだったよ、ね?』

Aくんが言った。


私は『うん‼︎』

と気にしてない振り。

久しぶりに元クラスメイトと会えて嬉しいかの様に明るく言う事しか出来なかった。


それからのことは全然思い出せなくて。

でも、Aくんが原因で私は不登校になったことは話題になる事はなかった。


Aくんが後に2人の友達に話したかわからないが。

私の耳には入ってはこなかった。

友達に知られずに済んだ事に私はホッとした記憶だけが残っている。

2人目の退学

久しぶりのブログとなってしまいました。


私をいじめていたAくん。

目立つ存在で、仲間を引き連れて歩く姿は当時の私にはゾッとするほど怖かった。


そんなAくん。

何があったか忘れてしまったのだが、私が留年した夏に学校を辞めたのだ。


元々の主犯格は私が不登校している間に学校を辞め、今回はAくんが辞めていった。


なぜ辞めたのかすっかり忘れている。

なにかをやらかして停学に留まらず、退学処分になった様な気はするが…覚えていない。


私はすごく嬉しかった。

私をいじめていた奴らが辞めて行ってビクビクしないで済むと思っていた。





その年の夏休み。


私は小学校の頃の同級生と久しぶりに遊ぶ約束をしていた。


私はその子の家に行った。

『お邪魔しまーす!』

部屋のドアを開けた瞬間、私は固まってしまった。


Aくんがいたのだ。

意味がわからない。


何で何も接点がないようなところにいるのか。

Aくんも驚いた顔で私を見ていた。


私はすぐにでも帰りたかった。

でも、Aくんを見た瞬間に帰るわけにもいかず、とりあえず私は部屋に入って座った。